現在は江戸川区にてケアマネ業をしていますが、数か月前まで訪問介護事業所の運営責任者を担っていました。
訪問介護は施設と異なり、上限の利用者数が定められていないので利用者様を新規で獲得し、規模の拡大、新規事業所の開設に大きな可能性を感じながら取り組んでいました。
当時は1都3県で計7事業所を管轄していたのですが、「当社の訪問介護運営部を拡大してもっと沢山の利用者様に喜んでもらいたい!」と更に新規事業書を増やすために開設戦略にも力を入れていました。
「このあたりに開設すれば利用者やヘルパーが獲得できるだろう」感覚的にはイメージできましたが、新規開設するには多大な資金が必要です。失敗は許されませんし、しっかりと会社に納得してもらわないとならないので、成功する根拠が必要です。
しかしながら・・・・
『新規事業所を開設するのに”何を根拠”に”どこに開設”すればいいんだろう??』
この疑問に回答できる上司やメンターが社内にいなかったために、どんな情報が必要でどのように分析、活用するか考えました。
そして何度も上司に否認されながら、磨き上げた”成功するための新規開設プレゼン”をご紹介いたします。
上司や役員になぜその場所に解説するべきなのかをしっかりとプレゼンして新規開設を実現してください。
経営者の方であれば参考にしていただければ幸いです。
1. 調査項目について
まず”開設したい駅名”、駅から半径3キロ圏内(開設候補地)の”居宅支援事業所数”、”訪問介護事業所数”、”75歳以上の後期高齢者数”、”20~69歳の人口”の5つの情報を取得します。
厚生労働省が発表している都道府県の介護事業者の情報です。
事業所ごとに様々な情報を取得できます。
江戸川区の例
東京都江戸川区の例をご覧ください。選定した駅に関しては江戸川区内で乗降者数が多い駅を複数ピックアップしています。
沿線 | 駅名 | ①居宅支援事業所 | ②訪問介護事業所 | ③後期高齢者人口 | ④20-69歳人口 |
JR総武線 | 小岩 | 122 | 143 | 42,053 | 236,712 |
東西線 | 葛西 | 76 | 102 | 26,752 | 278,031 |
都営新宿線 | 船堀 | 94 | 131 | 44,296 | 313,144 |
東西線 | 西葛西 | 58 | 75 | 28,357 | 247,902 |
JR総武線 | 平井 | 124 | 159 | 54,907 | 321,148 |
【①居宅支援事業所数=営業対象数】
ケアマネの事業所数が多ければその分営業対象者が多いということなの居宅支援事業所数が多ければ多いほど有利です。
【②訪問介護事業所数=競合】
訪問介護事業所数が少なければその分競合も少ないので有利になります。
【③後期高齢者人口=潜在顧客数】
75歳以上の後期高齢者が多いエリアは要介護者の割合も高くなりますので後期高齢者の人工は重要です。
【④20-69歳人口=潜在職員数】
潜在的な介護職員の人口数です。ホームヘルパーの年齢は比較的高めなので60代や70代の勤務者も珍しくありません。潜在的な職員となりえる年齢層も肝要です。
*②の訪問介護事業所数以外は数が多いほうが有利に働きます。。
項目の説明
①~④の各項目についてご説明していきます。
【①居宅支援事業所数】
事業所数が多いということは所属しているケアマネ数も多いと仮定しますので、営業対象者の数になります。ケアマネに営業して利用者のご紹介をしていただくので営業対象は多ければ多いほど有利です。
厳密には、事業所数<ケアマネ数が重要です。1事業所の全国平均ケアマネ在職数は3名程度なので、100事業所であれば300名のケアマネが存在することになります。
*当然地域差があるので一概に”事業所数=ケアマネ3名”という図式が当てはまらない場合もありますので”平均値”として解釈してください。具体的に各事業所ごとのケアマネ数を算出することは可能ですが、労力を要するのでここでは割愛いたします。
【②訪問介護事業所数】
いわゆるライバルになりますので周りに事業所が少ない方が利用者の獲得、ヘルパーの雇用に有利です。
余談ですが、私の考える最小規模の事業所は売上400万(利用者100名)、サ責3名(管理者含む)、登録&常勤ヘルパー20名です。なぜならば突然の離職や離脱が出たとしても持ち直せる規模だからです。
容易に実現できる規模ではありませんが、この規模を下回ると突然の離職などによって閉鎖に追い込まれる可能性が高いです。
【③後期高齢者人口】
後期高齢者とは75歳以上の高齢者のことです。潜在的な顧客(利用者)人口なので多い方が有利に働きます。
厚労省の発表では、75~79歳の要介護認定率は13.7%、80~84歳は26.9%、85~89歳は45.9%、90歳以上は68.0%です。加齢に伴って要介護率も高くなりますね。
例えば、小岩の半径3キロ圏内の後期高齢者人口は42,053名なので30%の後期高齢者が要介護者と仮定すると12,616名が要介護者となります。
全ての要介護者が介護サービスを必要しているかと言うとそうではないので実際に介護サービス利用者は更に絞られてきます。
ちなみに私たちの居宅支援事業所は、利用者様の20%~25%程度が訪問介護を利用しています。100名の利用者様だとしたら20名から25名程度が訪問介護を利用される計算になります。概ね他の事業所でも大差ない割合だと思います。
【④20歳〜69歳人口】
管理者、サービス提供責任者、常勤や非常勤ヘルパーなどの職員候補となります。
地元で勤務される方が大多数になります(特にパート職員)ので同地域に在住の20〜69歳を職員候補対象者として定義します。
訪問介護事業所の場合、デイサービスなどの他介護事業より平均年齢が高い(平均は50代〜60代)傾向にありますので20歳代~30歳代を同様に潜在職員といて含めにくい部分もありますが、複雑になりすぎないよう若年層を含めます。
訪問介護を提供するには”初任者研修受講者”や”実務者研修”、”介護福祉士”などの資格取得者の必要があるので付けられていますので更に職員候補は絞られてくるでしょう。
開設候補の選定
これらのデータを元に開設候補地を絞っていきますが、続きは次回の記事で掲載いたします。
次は具体的に開設候補地を絞り込むための追加の情報収集や考え方を投稿いたします。
引き続きよろしくどーぞ!
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