ケアマネージャーは【福祉用具(レンタル他)】をどのような視点で検討する?

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こんにちは、ふみーずステディです。

東京都江戸川区にて現役在宅ケアマネージャーとして単独居宅支援事業にて勤務しております。

 

介護保険のサービスを利用されている利用者様の約半数の方々が利用されている福祉用具(貸与、レンタル・住宅改修)ですが、ケアマネージャーはどのような視点で提案すればよろしいのでしょうか?

 

 

1. 福祉用具を提案する上で心がけること

『自立した生活が継続的に送ることができるよう移動や移乗などを補助すること』を心がけます。

つまり本人の動作時負担介護者の負担軽減することが大切です。

ポイントは2つ
    1. 利用者様の『自立支援』を前提に検討する
    1. 各専門職と連携し、様々な視点から必要性を検討する

 

2. 利用者像ごとに必要な福祉用具を考えてみる

個々の利用者様の状態・状況からどのような福祉用具を活用すればよいか考えていきます。

福祉用具や介助があれば、立ち上がりなどができる場合

例えば、介護ベッド(特殊寝台)を使ったり、介助があれば立ち上がりができる方に対しては、ベッド上で安定した座位保持が保てるよう介助バーを付けて、起き上がりや立ち上がりの補助に活用します。

半身麻痺の人であれば、寝室の環境によりますが、健側(手や足が動く方)に介助バーを付けて、つかまることができるようにします。

 

介助バー

 

注意

介護ベッド(特殊寝台)、特殊寝台付属品、車椅子の利用は、原則要介護2以上の方が対象となります。

ご自身では、ほとんど動けない場合

転落などを防止できる方法を考えます。

上下肢が転落しないように、両側にサイドレールを1点ずつ設置します。

注意しないといけないのは、疾病などにより転落の危険がある人です。

そうした場合でも、容易に4点柵の検討は避けるようにしましょう

現在は福祉用具の種類が豊富に揃っていますので、福祉用具相談員に相談し、超低床ベッドなどを活用することができます。超低床ベッドは、介助をしていないときは布団のように低い位置に下げておくことができます。

4点柵を使用し『囲まれた状態』を作ってしまうと身体拘束に該当してしまいます。

そうしなければ『本人の身体・生命に危険が生じる、または周囲の人の生命に危険がある』ような場合はやむを得ず使用することもあります。

身体拘束が認められる場合

前述の『本人の身体・生命に危険が生じる、または周囲の人の生命に危険がある』場合に限り、例外的に身体拘束が認められることがあります。

身体拘束を行わらざるを得ない場合として、「切迫性・非代替性・一次性」の3つの要件があります。

 

「切迫性」「非代替性」「一時性」の三つの要件の詳細はコチラ

 

 

こうしたケースに直面したケアマネージャーは、適切な判断ができているかの状況を確認し、行政や地域包括支援センターに報告します。

医師などの医療職とも連携を図りながら、担当者会議を通じて利用者に関わるサービス事業所の専門的見地からの意見も吸い上げて必要性を検討、記録します。

あくまでも緊急的であり、拘束しないと危険が生じる、一時的な措置である、ということが条件で身体拘束は致し方ないということを念頭に置いておいてください。

身体拘束以外の方法で安全性等が確保できない事前にかしっかり検討する必要があります。

 

3. 主要な福祉用具の活用

この章では具体的な例を上げてみましょう。

例えば在宅にて介護ベッド(特殊寝台)で寝たきりの状態の人の場合、本人や介助者の負担軽減を図る観点から、特殊寝台の付属品であるサイドレールや介助バー、マットレスなどを調整することも多くあります。

この特殊寝台を例に、さらに詳しく考えていきます。

 

特殊寝台の選定

特殊寝台の種類は大きく分けて3つあります。利用者様のADL(日常生活動作)、疾患、住環境によってどれを選定するか異なります。

モーターの数によって機能に違いがありますが概要は以下となります。

 

【1(ワン)モータータイプ】

高さ調節のみできるタイプ、背上げ機能のみのタイプ、背上げ・膝上げ連動タイプなどがあります。

【2(ツー)モータータイプ】

高さ調整、背上げと膝上げが連動しています。

【3(スリー)モータータイプ】

背上げと膝上げを別々に操作でき、高さ調整もできます。背上げだけの機能で自立動作が可能な方、立ち上がり動作だけが困難である方の場合は、1モータータイプのベッドを検討します。

ただし、高齢者の場合は、ADLや風邪などを含めた一時的な疾病によって、少しでも身体状態が悪化すると日常生活動作も低下に繋がってしまうことがあります

その際、早急な入れ替えの対応ができるように、事前にそうしたリスクなどについても話し合った上で、2モータータイプのベッドを導入しておくことも多々あります

その他、むくみなどがあり、基本的には横になっている体勢で過ごすことが多く、日中や夜間などにむくみ軽減のために足だけ上げるような人には、3モータータイプのベッドを提案することもあります。

むくみは、心疾患や腎臓機能障害がある方に比較的多く、体調が悪いときや血流の流れが悪い時などにも見られることがあります。

このような状態になったときは、適切な対応ができるよう医療機関や各サービス事業者と連携を図って対応します。

 

特殊寝台(介護ベッド)

 

注意

介護ベッド(特殊寝台)、特殊寝台付属品、車椅子の利用は、原則要介護2以上の方が対象となります。

マットレスの選定

マットレスの場合、スタンダードなものは、硬さをある程度選べる『リバーシブルタイプ』のものが多いです。

*マットレスが硬い方は寝返りが打ちやすいが床ずれができやすい、柔らかい方はその反対。

しかし、ベッドを使用する方の中には、なかなか寝返りが打てない方や、痩せているために仙骨部(お尻の上部あたり)や腸骨部(お尻の上部両側面あたり)が床ずれ(褥瘡)になりやすい方もいます。

特に床ずれの場合、仙骨部や腸骨部以外にも、かかとなど床ずれができやすい部位であり、特に注意が必要です。

このような床ずれのリスクが高い方の場合は、サービス担当者会議等で話し合い、どのようなマットレスが望ましいか検討します。その結果、褥瘡予防マットレスを導入するケースが多いですが、ご自身で全く動けない方には自動体位変換機能が付いたエアマットレスも有効です。

しかしながらエアマットレスの自動体位変換機能だけでは床ずれ悪化を完全に防ぐことは難しいため、人為的な介助で補助します。

ヘルパーさんやご家族の介助により、側臥位(横向きに寝ている状態)の際に衣服のシワを伸ばすなど配慮することが重要です。

床ずれ改善には、「適切な処置(軟膏塗布)」、「清潔保持」、「食事のバランス」、「定期的な体位変換」の4点が重要であると考えます。

 

注意

介護ベッド(特殊寝台)、特殊寝台付属品、車椅子の利用は、原則要介護2以上の方が対象となります。

移動や歩行を補助する福祉用具の選定

移動や歩行をサポートする車椅子歩行器4点づえなどを導入する際は、病院などの医療従事者や訪問介護、訪問看護、福祉用具事業者など居宅サービス事業者、そしてご家族など、様々な立場から客観的な意見を吸い上げます。

リハビリテーションの専門家である理学療法士や作業療法士などの見解を求め、様々な種類の歩行補助具から福祉用具事業者と相談しながら適切な用具を絞っていきます。

福祉用具の高さ、幅、奥行き、重量、使いやすさなど利用者様のADLや体格、疾患、住環境など、考慮しながら検討していきます。

それぞれの福祉用具にメリットとデメリットが存在しますが、両者を天秤にかけて優先する機能を絞りながら決定していきます。

【パーキンソン病の場合】

歩行器が前に出すぎて転倒しないよう抑速機能(自動ブレーキ)が付いた歩行器を提案します。

【半身麻痺がある場合】

軽度の人であればこの限りではありませんが歩行器をつかむ力や体幹バランスが悪いので、ほとんどのケースで歩行器は勧めません。このような場合で活躍するのが4点づえです。

どのような場合であってもケアマネージャーの判断だけで決めるようなことはせずに各種専門家の意見を吸い上げながら客観的な視点で最適な方法を絞っていきます。ケアマネージャーだけでは見過ごしているニーズやリスクが発生している可能性があるからです。

また歩き方はデイサービスや訪問リハビリテーションで福祉用具を適切に活用できるか働きかけていくことが肝要です。

利用者様の状態によっては電動車いす電動歩行器を提案することもあります。

実際に導入する際には、業者がテスト運行を行って歩道走行にリスクがないか検証しますが、軽度の下肢麻痺はあるが上肢には問題ない方や、身体的に問題はないものの体力的に長距離歩行が困難な方が有効に活用できる場合があります。

移乗動作(車椅子の乗降)の確認は必要ですが、ご自身で散歩や買い物にでかけることができれば生活意欲の向上に繋がり自立心を刺激することができます

ただし、日頃の状態や身体機能が低下した場合などは無理をしないよう、しっかりと事前にリスクについても話し合いが必要です。

安全面を最優先した上で導入するか否かを決定していきましょう。

 

車椅子や歩行器のメリット・デメリット

👉自走式の車椅子の場合
【メリット】
タイヤが大きいので安定する
【デメリット】
重さがあるので介助や持ち運ぶ際に力を要する
👉軽量な歩行器の場合
【メリット】
軽く持ち上げられるので容易に前に出しながら歩くことが可能。
【デメリット】
バランスが悪い(体幹が弱い)方だと不安定。

注意

介護ベッド(特殊寝台)、特殊寝台付属品、車椅子の利用は、原則要介護2以上の方が対象となります。

手すりの設置

利用者様宅の玄関や廊下、トイレなどに手すりを設置する場合があります。

介護保険における住宅改修では、最大で20万円まで給付対象となりますので必要な設置箇所を検討します。*転居した場合、上限はリセットされます。

福祉用具の貸与と異なり、工事して取り付けるので取り付けたらもとに戻すことはできません。

在宅生活を長く続けていけるか、状態が変化したときは活用ができるかなど住宅改修の合理性も担当者会議にて検討した上で申請いたします。

また、設置が望ましい場合でも住環境によって設置が難しい場合もあります。

持ち家でなく賃貸物件の場合は工事できない事があります。

その場合は、工事せずにリスクを解消できる福祉用具がないか検討します。

 

例えば、、、

◎置型の手すりを設置

◎手すり同士を繋いで設置し動線を確保

◎トイレ内にはめ込み式の手すりを設置し立ち上がり補助

◎トイレ内で縦型手すりのポジショニングバー(突っ張り棒)を設置

ただし手すりがあることで転倒リスクを高めてしまう場合もあるので注意が必要です。室内で歩行器を活用する場合など手すりが邪魔になって店頭の要因になってしまうこともあるのでしっかりとアセスメントを行いましょう。

 

4. 状態の変化によって柔軟に変更していく

福祉用具も他のサービスと同様、状態によって追加したり、反対に回収しなければならないこともあります。

モニタリング時や居宅サービス事業所からの情報提供や提案によって適切な福祉用具の活用に調整していく必要があります。

 

5. 関連事業所の皆さんにお願いしておく

ケアマネージャーには些細なことでも情報共有

私たちは身体状況や住環境が一人ひとり異なる利用者様に対し、可能な限り事故の予防や安心した生活を送ってもらえるように支援しています。

その支援を継続するために関係事業者のご意見はとても貴重な情報源となります。

些細なことでも利用者様にとってはリスクに繋がることもあるので、ケアマネージャーにお気軽に相談や提案しましょう。

利用者様の尊厳を大切にしながら自立に繋がるよう福祉用具の提案に繋げたいと考えています。

また、サービス担当者会議は情報共有や提案を行う絶好の機会なので事前に準備しておくことは肝要です。

他事業者の意見も積極的に吸い上げて最善策を検討しましょう。

福祉用具活用において観察すること

福祉用具についてリスク低減の観点から気をつけて観察していただきたい点をあげてみたいと思います。

【介護ベッド】

◎昇降の際に、ベッド下に物が挟まっていないか

◎背上げの際にサイドレールなどから手が出ていないか

◎利用者様がベッドのリモコンを取ろうとして転落や転倒の危険性がないか

最近のリモコンはベッドの角度などが液晶表示されるタイプが多くなっています。利用者さまにとって安全安楽な『適切な角度』をご家族やヘルパーさんなどで共有しておきます。液晶表示がないタイプの場合は、サイドレールなどに目印を付けておくことも良いでしょう。

【車椅子】

◎タイヤの空気圧

タイヤの空気圧を定期的に確認します。ノンパンクタイヤの存在もありますが、重量が重くなってしまうデメリットもあります。

◎ブレーキの効き具合

ブレーキの効きが甘くても効きすぎてもリスクがあります。どのくらいの力を入れるとブレーキが効くのかチェックするようにしてください。

【歩行器や杖】

◎先端に付いているゴムの摩耗程度

歩行器や杖の先端についているゴムが磨り減っていると転倒リスクが高くなります。

◎使い方は適切であるか

ADLの変化から正しく活用できていないケースが想定されます。不適切な使い方は転倒リスクを高めてしまうので注意しましょう。

 

6. 残存機能の活用・自立を支援する

利用者様やご家族から要望があったとしても自立支援を阻害するようであれば、冷静に判断しその阻害要因を丁寧に説明、納得してもらう必要性もあるでしょう。

利用者様の残存機能を活用することが日常生活を継続するためには大切なことです。

例えば、要介護度が2以上だったとしても特殊寝台やサイドテーブルが必要とは限りません

本来は時間がかかってしまったとしても利用者様の残存機能を活用して自身で道具に頼らなくても安全に動いたり行ったりできるのであれば導入するべきではありません。

しっかりとアセスメントをした上で自立支援に繋がるサービスか否かをチームで検討する必要があります。

誤った導入をしてしまうと残存機能の低下に繋がり在宅生活に支障が出てきてしまうこともありますので慎重に検討・判断するようにしましょう。

利用者様のADLが改善されて、既存の福祉用具が残存機能の低下に繋がるようであれば、丁寧に説明して回収しなければならない場合もあることを念頭に置いてください。

 

7. 今日のまとめ

利用者様が快適に自立した生活が継続できるよう福祉用具の活用はとても有用な手段です。

しかしながら客観的な視点で検討・導入しないと自立支援の阻害要因になりかねないので注意が必要です。

 

今日はこれまで。

引き続きよろしくどーぞ!

 

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