こんにちは、ふみーずステディです。
東京都江戸川区にて現役在宅ケアマネージャーとして単独居宅支援事業にて勤務しております。
今回は、単独でケアマネ事業を運営している居宅支援事業所にて、勤務するメリット・デメリット・特徴などをお伝えしたいと思います。
わたし自身、単独の居宅支援事業所に勤めて早くも2年目に突入しておりますが、前職では訪問介護の運営全般に関わっていました。
訪問介護は居宅支援事業所と併設していることが一般的ですが、併設しているが故に便利であること、一方でやりにくい側面があることを否めませんでした。
訪問介護の管理者やサービス提供責任者として携わっていた際は、残業時間も多く、ヘルパーさんが急遽お休みになったら自身の休みを返上してでも、代わりに利用者宅に訪問しなければならないなど、プライベートとの両立が難しい状況でした。
また、ヘルパーさん、利用者様、ご家族様、ケアマネさんの板挟み状態で常に気苦労が絶えない状況でした。
そのような状況下で働いた経験もあることから、両者の立場を比較した上で、単独居宅支援事業所で働くメリット・デメリットをお伝えさせていただきます。
1. 単独居宅支援事業所と特定事業所加算Ⅰ〜Ⅳ
まずは単独居宅支援事業所を語る上でかかせないのが、特定事業所加算の取得です。
特定事業所加算の取得は居宅支援事業所の収益基盤を安定させるため必須の加算です。
介護ソフトを運営している株式会社エス・エム・エス様から引用した特定事業所加算の情報です。
江戸川区内には158事業所(令和2年5月15日現在)の居宅支援事業所が指定を受けていますが、区内の居宅支援事業所のうち特定事業所加算Ⅰ〜Ⅳのいずれかを取得している事業所は37事業所です。
特定事業所加算を取得している37事業所のうち、介護保険サービスを併設(自社運営)していない単独居宅支援事業所数は10事業所です。
区内の事業所158事業所のうち、特定事業所加算を取得している単独居宅支援事業所はわずか10事業所(一部医療保険サービスを併設している事業所あり)です。
区内全体の6.3%の数しかない狭き門です。
特定事業所加算を取得している単独居宅支援事業所の特徴
まずは単独居宅支援(特定事業所加算取得)の特徴をあげてみたいと思います。
●3名以上のケアマネージャーが勤務している。
3名以上のケアマネージャーが在籍していますのでお互いのネットワーク、情報交換が活発です。
私は訪問介護が主な出身畑なので他の居宅サービスや施設サービスなど知識や経験が乏しい分野がありますが、苦手分野があっても気軽に他のケアマネから情報を得られるので効率的に吸収ができます。
●主任ケアマネージャーが在籍している。
ケアマネージャーの実務経験が5年以上のケアマネの上位資格を持つ主任ケアマネージャーが在籍しています。介護保険、医療知識、ネットワークなど広い知見を持ち合わせているので、勉強する環境として最適です。
厚生労働省が提示している主任ケアマネージャーの受験や受講要件の引用リンクです。
●定期的に社内ミーティングを開催する。
定期的に社内ミーティングを開催しますので各ケアマネから定期的で最新の情報を入手でき、困難ケースの対応策など共有しながらスピーディーに技術向上が可能です。
当社では月に1回の事例検討も行なっています。
●他の法人が運営する居宅介護支援事業者と共同で事例検討会、研修会等を開催する。
他法人のケアマネージャーと定期的に合同研修や事例検討会を行う機会が設けられるのでネットワークや知見が広がります。
地域に関する情報や医療従事者を招いての研修など様々な勉強会の機会を得ることができます。
●ケアマネ試験に合格した実習生の研修を受け入れる。
実習生を受け入れることにより現在の新任ケアマネ研修の動向を知ることができるので最新の情報をアップデートできます。
さらに新たなケアマネージャーを募集している事業所にとっては、仲間を勧誘する機会にもってこいです。
●ケアマネに特化した方針で運営している。
同法人内はケアマネージャーのみ勤務しているので、他職種に忖度せずにケアマネに特化した企業方針で運営ができます。
例えば雇用条件など他職種が混在しているとバランスを考慮しなければなりませんが、他職種のことは一切考える必要がありません。コロナ禍でテレワークが可能な唯一の介護職でもありますが、勘案せずに実行が可能です。
●経営判断が早い
小規模運営の事業所が多いので経営陣の存在も近く、体制的に経営判断が早いです。
業務効率化のため、スマホやタブレットを導入するなど迅速に進めることができます。
●事業所や職員が地域に密着しているケースが多い。
昔から運営している事業所であったり、職員も地元から通勤しているケースが多く、地域に根付いて運営しています。
地域の情報が生活レベルで入手できるので利用者様やご家族、他サービス事業所の職員さんとも地元意識が醸成されます。
2. 働くメリット
ケアマネージメントの情報収集が用意
主任ケアマネや3人以上のケアマネが在籍しているので、ケアマネージメントのノウハウが容易に得られます。
同事業所内での情報共有ミーティングや事例検討会の開催、他法人との合同研修もありますのでネットワークも広げながら様々な知見を吸収することができます。
ケアマネに必要な書籍やテキストが豊富に揃っていることが多いのでケアプランなどの書類作成時に参考にもなります。
公正中立なケアマネージメントの提案ができる
自社に訪問介護やデイサービスなどの併設事業所がある場合、自社サービスを担当利用者様に提案・提供して法人内で複数の収益導線を確保することが一般的です。
したがって、自社の連動比率が必然的に上がり、本来は様々な選択肢からサービスを選んでいただくことが公正中立なケアマネジメントと言えますが、アンバランスなケアマネジメントになってしまう可能性が否めません。
単独事業所の場合は、完全に他社の居宅サービスに依頼するので利害関係が発生しにくく、個々の利用者様に最適なサービスの提案が可能です。
他職種とのしがらみがない
自社の他サービス事業が併設していると、異なる職種と物理的に連携しやすい機会が発生します。
時として必然的な連携が軋轢を生じさせてしまう場合があります。
例えば、訪問介護のサービス提供責任者はヘルパーさんのマネージメントは業務の一部ですが、急なヘルパーさんの休みに対応するため、休みを返上しなければならないケースがあります。
ケアマネージャーは原則的に自身の裁量でスケジュール管理ができますし、他の職員が休んだからといって代わりに訪問しなければならないということはありません。
そういった業務内容の違いから「ケアマネージャーはしっかり休みも取れて残業もせずに楽な仕事ね!」などと心の声が聞こえてくることがあります。
決してケアマネージャーの仕事はらきな仕事ではありませんし、他職種の職員さんがケアマネ業務が大変であると感じていても、疲労が蓄積されたり、虫の居所が悪いとケアマネに対して、ネガティブな心理状態になってしまうことがあります。
3. 働くデメリット
居宅サービス事業所はすべて他社のサービスを利用
自社運営の居宅サービスがないので他社のサービスに依存することになります。
自社の併設事業があれば、物理的に情報共有が容易なので連携しやすいこともありますが、他社に依頼しているので情報共有量が必然的に少なくなってしまいます。
したがって、自発的に連絡をしたり、情報を取りに行く必要があるので情報共有に労力が伴います。
また、自社併設のサービス事業所だと内情を知ることができたり、現場の職員さんとも面識を持ちやすく、自身の目で確認できる機会が多いのですが、他社のサービス事業の場合、どうしても間接的な情報やフィルターのかかった情報になってしまう傾向があります。
ケアプラン数を確保する必要がある
自社併設事業が共存していれば、自社サービスを利用していただくことによって、ケアプラン報酬だけでなく、自社併設事業の収益にも貢献できますが、単独居宅支援事業所の場合は、ケアプランの報酬のみで収益を確保しなければなりません。
したがって、上限ギリギリのケアプラン数を担当して収益的に自立した事業にしなければなりません。
単独事業の脆弱性
居宅支援事業所のみが事業の柱となるので経営がうまく行かなくなった時の脆弱性が懸念されます。
併設事業所があればいずれかの事業がうまく行かない状況になってもお互いにフォローしあえるというメリットは存在します。
また、特定事業所加算を取得している居宅支援事業所は一定数のケアマネージャー(3名以上)の在籍が必要なので一人かけてしまうと収益が大きく減少してしまうリクスを伴います。
4. 今日のまとめ
単独居宅支援事業所で働くメリットとデメリットが両方ありますが、ケアマネージャーとして技術を向上させる環境、効率的に集中して働ける環境、また忖度せずに自身の裁量でワークライフバランスを保つことができる点で、とても満足しています。
今日はこれまで。
引き続きよろしくどーぞ!
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