
こんにちは、現役ケアマネジャーのふみーずです。
東京都内にて在宅ケアマネジャーとして居宅支援事業所で勤務しております。
「親が薬を飲んだか分からない」
「薬の袋が開けられなくて、そのままにしている」
「薬が多すぎて、本人も家族も混乱している」
このような相談を、私はケアマネとして担当するご家族から日常的に受けています。
この記事では、以下の内容を現役ケアマネの一次情報を交えて解説します。
- 現場で多い「飲めていない」原因3つと、それぞれの見分け方
- まず整えたい基本の2つ(お薬カレンダー・一包化)と薬局への頼み方
- 家族の電話・声かけが続かない理由と、道具に置き換える考え方
- 原因別の道具(カレンダー・ピルケース・取り出し器・タイマー)
- 薬剤師の訪問・訪問看護・訪問介護に頼める範囲と、その限界
- それでも難しいときの「限界の見極め」
大切な親御さんの薬で後悔しないために、ぜひ最後までお読みください。
1. 現場で多い「飲めていない」原因は3つ

「飲み忘れ」とひとくくりにされがちですが、原因が違えば打ち手も違います。私が担当するご家庭で多いのは次の3つです。
①飲んだか忘れる
いちばん多いパターンです。飲んだつもりで飲んでいない、逆に2回飲んでしまう。残薬を数えると「先週の分が残っている」ことで発覚します。本人は「ちゃんと飲んでいる」と言うことが多く、責めても解決しません。
②薬袋が開けられない
見落とされやすいのがこれです。錠剤のシート(PTPシート)を指で押し出せない、一包化の袋の切り口が見えない・つまめない。手指の力が落ちた方、関節のこわばりや震えがある方に起こります。「面倒だから飲まない」のではなく「物理的に取り出せない」ことがあり、袋を開けた状態で置いておくだけで飲めるようになるケースを何度も見ています。
③薬が多すぎて混乱する
複数の病院から出た薬が重なり、朝だけ・食後だけ・週1回、と条件が違う薬が混ざると、本人も家族も追えなくなります。薬の数が増えるほど、①と②も同時に起こりやすくなります。
・シートや袋が手つかずで残っている、袋の端だけ破れている → ②
・「どれを飲むのか分からない」と本人が言う、薬袋が何種類もある → ③
迷ったら、残っている薬をそのまま担当ケアマネか薬局に見せてください。原因の切り分けはそこから始まります。
2. まず基本の2つ:お薬カレンダーと一包化

私の現場では、この2つを整えることが出発点です。道具や専門職を足すのは、そのあとです。
一包化(薬局に頼む)
一包化とは、同じタイミングで飲む薬を薬局で1袋にまとめてもらうことです。「朝食後」「夕食後」と印字された袋になり、シートから押し出す手間がなくなります。かかりつけの薬局に「一包化をお願いしたい」と伝えると、医師への確認を含めて対応してもらえることが一般的です(薬によっては一包化できないものもあります)。②の「開けられない」にも、③の「多すぎる」にも役立つ、いちばん基本の手です。
お薬カレンダー(壁に掛ける)
曜日×朝昼夕のポケットに1週間分を入れて、壁の目につく場所に掛けます。飲んだあとのポケットが空になるので、本人も家族も「ポケットに薬が残っているか」を確認しやすいのがいちばんの利点です。①の「飲んだか忘れる」に対して、現場でもっとも長く続いている工夫です。セットは家族が週1回行うか、訪問の専門職に組み込みます(後述)。
曜日×朝昼夕晩のポケットに1週間分を入れて壁に掛けるタイプ。薬が残っているかを、離れて暮らす家族が写真で確認するときにも使える形です。ただし、空のポケットだけでは服用したことまで確認できません。
3. 家族の電話・声かけが続かない理由

「毎朝電話して飲んだか確認する」を始めるご家族は多いのですが、正直なところ、続いている家庭は少数です。理由ははっきりしていて、手間が多いからです。仕事や家事の合間に決まった時間に電話をかけ、本人が出なければかけ直し、出ても「飲んだ」と言われれば確認のしようがない。数週間で負担が上回ります。
私が家族にお伝えしているのは、「人の声かけは最後の砦にして、先に道具と仕組みで減らしましょう」ということです。電話は続かなくても、カレンダーのポケットは毎日そこにあります。
4. 原因別の道具:カレンダー・ピルケース・取り出し器・タイマー

基本の2つを整えたうえで、原因に合わせて1つずつ足します。一度に全部そろえる必要はありません。
①「飲んだか忘れる」に:お薬カレンダー/1週間ピルケース
壁に掛けられない住まいや、外出が多い方には、曜日と朝昼晩に分かれた1週間ピルケースが使いやすいです。仕切りが大きく、フタが開けやすいものを選ぶと、手指の力が落ちてきた方でも扱いやすくなります。
曜日ごとに小分けにするタイプです。購入先には1日3回用と4回用があるため、処方された回数と選択する種類を確認してください。薬を包装から出して保管してよいかは、先に薬剤師に相談しましょう。
②「薬袋が開けられない」に:錠剤取り出し器・開封ハサミ
一包化ができない薬がある場合や、シート包装で受け取る薬が残る場合は、錠剤取り出し器という道具があります。シートを差し込んでレバーを握ると錠剤が押し出される仕組みで、取り出す操作を補助します。本人が操作できるか、使う薬のシートに合うかを購入前に薬剤師へ確認してください。一包化の袋が開けにくい方には、袋の端を挟んで切る小さなハサミやカッターも市販されています。いずれも医療機器ではなく一般の雑貨なので、薬局や通販で手に入ります。
PTPシートを差し込んで握るだけで錠剤を押し出すタイプ。指で押し出せなくなった方の「取り出せない」を道具で置き換える選択肢です。
③「時間を守る薬」に:服薬タイマー
パーキンソン病の薬のように飲む時間が重要な薬や、1日4回など回数が多い場合は、決まった時刻に光と音で知らせる服薬タイマーが「声かけの代わり」になります。スマホのアラームを使う方法もあります。専用機を買う前に、本人が音や表示に気づき、操作できるかを確認してください。
朝・昼・夕・寝る前の4回まで時刻を設定でき、光と音で知らせるタイプ。時刻を知らせる道具であり、服用したかを検知する機器ではありません。「OK」はアラームを止めた表示です。音や光に気づけるか、本人が操作できるかを確認し、人による確認が必要な場合は併用します。
タイマーの機能の出典:ドリテック T-633 製品情報(2026年9月12日確認)。服薬の支援方法は、厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」も参考に、本人の状態に合わせて医師・薬剤師と相談してください。
自動服薬支援機について
決まった時間に薬が1回分だけ出てくる自動服薬支援機もあります。認知症で自己管理が難しくなった方の選択肢ですが、価格が高く、レンタルや導入の条件は機種ごとに異なります。検討するときは、担当ケアマネと薬局に相談してから決めることをおすすめします。
5. 専門職に頼める範囲:薬剤師の訪問・訪問看護・訪問介護

家族だけで抱えないことも大切です。私の現場では、次の3つに協力してもらうのが基本です。
- 薬剤師の訪問(居宅療養管理指導):薬剤師が自宅に来て、残薬の整理、飲み方の説明、お薬カレンダーへのセット、医師への処方相談を行います。「薬が多すぎる」の整理役として、まず頼りたい専門職です。
- 訪問看護:看護師の訪問時に服薬状況の確認やカレンダーのセットを組み込めます。体調の変化と合わせて見てもらえるのが利点です。
- 訪問介護:ヘルパーの訪問時に、服薬の声かけや見守りをケアプランに位置づけることができます(できる範囲には決まりがあります)。
訪問していない時間の確認方法も相談する
利用できる訪問の内容や回数は、サービスの種類、本人の状態、医師の指示、支援計画などによって異なります。薬剤師の訪問・訪問看護・訪問介護を、同じ給付条件のサービスとしてひとくくりにはできません。誰が薬をセットし、誰が服用状況を確認するか、訪問のない時間はどうするかまで、担当ケアマネや薬剤師と相談しましょう。本人が道具だけでは管理できない場合は、人による支援を含めて見直します。
訪問看護の選び方は訪問看護ステーションの大手はどこ?東京都の規模ランキングと現役ケアマネが教える選び方、保険の枠を超えて頼みたい場合は介護保険外サービスとは?できること・料金・介護保険との使い分けにまとめています。
服薬の相談とは別に、介護する家族自身の掃除・料理・買い物を定期的に頼みたい場合は、自費の家事支援も選択肢です。きらりライフサポートは長期の定期利用を前提としたサービスで、対応地域は東京都と神奈川・千葉・埼玉の一部です。服薬管理や身体介護を依頼できるサービスとしての紹介ではありません。料金は利用時間・回数に加えて訪問費がかかります。継続して払える総額、依頼内容、解約条件を事業者に確認してください。費用負担が難しい場合は、自費契約を急がず担当ケアマネや自治体に使える支援を相談しましょう。
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支援の考え方の出典:厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編)」。個別の利用条件・費用は担当窓口に確認してください。
6. それでも難しいとき:一人暮らしの「限界」の見極め

カレンダーも一包化も専門職の訪問も整えたのに、それでも薬が残る。そうなってきたら、服薬だけの問題ではなく、一人暮らしの生活全体を見直す時期かもしれません。服薬は、水分・食事・転倒と並んで、一人暮らしの高齢者で最初にほころびが出やすい部分です。
限界の見極めは、家族だけで判断せず、担当ケアマネや地域包括支援センターと一緒に行うのが安心です。判断の目安は一人暮らしの親の見守り|心配なポイントと「限界」の見極め方、離れて暮らしている場合は遠距離介護で後悔しないために、見守りの道具全体は在宅介護の見守り方法まとめをご覧ください。
7. 【同業の方へ】ケアプランに服薬確認を組み込むときの考え方
同業のケアマネの方向けに、私が意識している点を3つだけ。①「飲めていない」を①②③のどれかに切り分けてからサービスを選ぶ(原因が②なら訪問回数を増やすより一包化と道具が先)。②薬剤師の訪問は「薬が多い・処方元が複数」のケースで早めに提案する。③本人の服薬管理能力と生活状況に合わせ、セット・服用確認・訪問のない時間の対応を分担する。必要に応じて薬剤師や看護師と情報共有し、道具で補える部分と人の支援が必要な部分を見直します。
8. よくある質問
Q. 一包化は誰に頼めばいいですか?費用はかかりますか?
A. かかりつけの薬局に相談してください。医師の了承を得て薬局が対応します。費用や対象になる薬は薬局と処方内容によって異なるため、その場で確認するのが確実です。
Q. お薬カレンダーのセットは誰がやるのですか?
A. 家族が週1回まとめて行う家庭が多いです。難しい場合は、薬剤師の訪問や訪問看護の訪問時に組み込めるか、担当ケアマネに相談してください。
Q. 薬を飲みたがらないときはどうすればいいですか?
A. 「開けられない」「飲む理由が分からない」など、本人なりの理由が隠れていることが多いです。責めずに理由を探り、必要なら医師や薬剤師から本人に説明してもらうと変わることがあります。
まとめ
・基本はお薬カレンダーと一包化。家族の電話は続きにくいので、道具に置き換える
・道具は原因別に1つずつ。カレンダー/ピルケース/錠剤取り出し器/服薬タイマー
・薬剤師の訪問・訪問看護・訪問介護と連携し、訪問のない時間の確認方法も相談する
・整えても薬が残るなら、一人暮らしの限界の見極めをケアマネ・地域包括と一緒に
最後までお読みいただきありがとうございました。
親御さんの薬のことは、決して家族だけで抱える必要はありません。残っている薬があれば、早めに薬剤師や担当ケアマネに見せて相談してください。
現役ケアマネとして、皆さまのお役に立てる情報を引き続き発信していきます。不安や疑問があれば、お住まいの地域の地域包括支援センターや担当ケアマネにご相談ください。







