
「介護保険のヘルパーに、家族分の掃除や調理も頼みたい」
「通院の待ち時間も付き添ってほしい」
「仕事中に一人になる親の様子を見てほしい」
このような困りごとに応える選択肢が、全額自己負担の「介護保険外サービス」です。私がケアマネとして受ける相談では、介護保険だけでは埋めにくい家事の相談が最も多いと感じています。
まず担当ケアマネや地域包括支援センターに相談し、介護保険と自治体の支援で対応できることを整理します。それでも残る「時間」と「依頼内容」だけを保険外で補います。
介護保険外サービスとは

介護保険外サービスとは、介護保険の給付対象ではない支援を、利用者と事業者の契約により全額自己負担で利用するサービスです。「自費サービス」とも呼ばれます。
厚生労働省は、介護保険の訪問介護と保険外サービスの組み合わせを認めています。ただし、両方の内容・提供時間・料金を明確に分け、文書で説明して利用者の同意を得ることが示されています。
出典:厚生労働省「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」
介護保険サービスとの違い

| 比較 | 介護保険サービス | 介護保険外サービス |
|---|---|---|
| 対象 | 要介護・要支援認定と支給条件に合う方 | 事業者の利用条件に合う方 |
| 内容 | 本人の生活に必要で、ケアプランに位置づけた支援 | 契約で定めた家事、付き添い、見守りなど |
| 費用 | 介護保険が適用される範囲の利用者負担 | 全額自己負担 |
| 時間・回数 | 本人の状態、支給限度額、ケアプランで調整 | 事業者の対応時間と契約で調整 |
保険外を保険内より先に使うという意味ではありません。公的サービスで対応できない部分を自費で補う関係です。
訪問介護で頼める内容は、次の記事で詳しく説明しています。
介護保険外で頼みやすい5つのこと

1.本人や家族の家事
本人の掃除・調理・買い物のほか、家族分の調理や掃除などを相談できる事業者があります。介護保険の訪問介護は利用者本人のための支援であり、家族のための家事は対象になりません。
2.見守りや話し相手
家族の外出中に同じ部屋で過ごす、夜間に様子を見るなどの依頼です。介護保険の訪問介護では、見守りだけを目的にした利用は原則として難しいためです。
3.通院・院内の付き添い
受付、待ち時間、診察室までの付き添いなどです。介護保険で対応できる範囲は状況により異なるため、担当ケアマネに確認します。
4.趣味や余暇の外出付き添い
散歩、買い物、墓参り、観劇などの付き添いです。交通費や入場料などの実費負担も確認しましょう。
5.ペットの世話や庭の作業
厚生労働省の通知でも、訪問介護の前後や合間に、保険外として草むしりやペットの世話を提供する例が示されています。
ケアマネの現場で感じる「介護保険のすき間」

介護保険は、本人の生活と自立を支える制度です。家族の仕事時間、通院先の待ち時間、家族分の家事まですべてを支える制度ではありません。
この差に戸惑ったときは、自費の契約を先に勧めるのではなく、次の順番で整理します。
- 困っている家事や時間帯を書き出す
- 介護保険で対応できるかケアマネと確認する
- 自治体、社会福祉協議会、シルバー人材センターなどの地域支援を確認する
- 残った部分の時間と月額を計算する
料金の目安と契約前の7つの確認

例として、自費訪問サービスのクラウドケアは、2026年8月30日時点で次の料金を掲載しています。
- 定期依頼:税込2,750円/1時間から
- スポット依頼:税込3,300円/1時間から
- 交通費:税込880円、オプション料金は別途
2026年10月1日から、定期依頼の最低利用時間を1時間から2時間に変える予定も公表されています。月額は「1回の合計額 × 月の回数」で計算します。
- 依頼内容に対応できるか
- 最低利用時間と最低料金
- 交通費、早朝・夜間、延長の追加料金
- 定期契約の更新方法
- キャンセル料と解約手続
- 依頼先が対応地域か
- トラブル時の連絡先と補償の範囲
消費者庁も、高齢者向けの有償サービスについて、支払える総額か、事業者ができないこと、契約変更や解約の手続きを文書で確認するよう案内しています。
向いている家庭・先に勧めにくい家庭

向いている家庭
- 介護保険で対応しにくい依頼内容が明確
- 家族の仕事や遠距離介護の空白時間だけを補いたい
- 費用と回数を整理し、継続できる範囲を決められる
先に勧めにくい家庭
費用負担が極端に難しい家庭には、継続的な自費サービスを先に勧めません。生活費を圧迫したり、必要な時期に続けられなくなったりするおそれがあるためです。
その場合は、介護保険の種類・回数・時間の見直し、自治体の生活支援や配食、ショートステイなどを先に確認します。医療的な判断や緊急駆けつけの代わりに使いたい場合も、別の支援先を含めた整理が必要です。
保険の支援だけでは足りないときの選択肢

介護保険と地域の支援を確認しても家事や付き添いの時間が残る場合は、自費訪問サービスの料金と対応内容を比べる選択肢があります。
2026年8月30日時点で、クラウドケアの公式ページには、家事手伝い、通院付き添い、日中・夜間の見守り、外出付き添いなどが掲載されています。対応地域は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・大阪府・京都府・兵庫県の一部です。
依頼内容と月額を整理したうえで、料金と対応地域を確認できます。
24時間365日の対応をうたう自費の介護サービスもあります。夜間や急な付き添いなど、時間帯で選びたい場合の比較対象です。
依頼したい時間帯と内容を決めてから、料金と対応地域を確認してください。
介護保険外サービスのよくある質問
Q1.要介護認定がなくても使えますか?
事業者の条件に合えば、認定の有無にかかわらず利用できるサービスがあります。対象者と対応内容は申込み先に確認してください。
Q2.介護保険と保険外を同じ日に使えますか?
内容、時間、料金が明確に区分されていれば、組み合わせられる場合があります。
Q3.家族の掃除や調理も介護保険で頼めますか?
介護保険の訪問介護は利用者本人の生活援助が中心です。家族分の調理などは対象になりません。本人分も家族状況や自治体の取扱いで判断が分かれることがあるため、ケアマネに確認してください。
Q4.費用が苦しい場合はどこに相談すればいいですか?
ケアマネまたは地域包括支援センターに、「月に負担できる上限」と「一番困っていること」を伝えてください。
まとめ
- 介護保険外サービスは、全額自己負担で家事・付き添い・見守りなどを頼む支援
- まず介護保険と自治体の支援を確認し、足りない部分だけを補う
- 料金は月額で計算し、更新、キャンセル、解約、対応地域を文書で確認する
- 費用負担が極端に難しい家庭は、継続的な自費契約より公的支援の整理を先にする
保険内か保険外かの判断に迷ったら、依頼したいことを一つずつ書き出し、まず担当ケアマネや地域包括支援センターに相談してください。
最後までお読みいただきありがとうございました。現役ケアマネとして、皆さまのお役に立てる情報を引き続き発信していきます。







