
こんにちは、現役ケアマネジャーのふみーずです。
東京都内にて在宅ケアマネジャーとして、併設サービスのない単独型の居宅介護支援事業所で勤務しております。
「一人ケアマネの今後」「1人の居宅介護支援事業所はこれからどうなる」と検索する方は、いま一人で回している方か、これから独立を考えている方だと思います。私の事業所も以前はケアマネ1人で回していました。制度・数字は厚生労働省と法令の原文を出典にし、私の事業所の話は「一例」として書きます。
1. 「一人ケアマネ」には2つの意味がある

現場で「一人ケアマネ」と言うとき、指しているものは2つあります。
- 単独型の事業所:訪問介護やデイサービスなどの併設サービスを持たない居宅介護支援事業所。ケアマネが複数いても「単独型」と呼ぶ。
- 文字どおり1人体制:管理者兼ケアマネが1人で全業務を担う事業所。
この記事は両方を扱いますが、今後を左右するのは後者の「1人体制」のほうです。単独型そのもののメリット・デメリットは一人ケアマネ(単独型の居宅介護支援事業所)で働くメリット・デメリットで書いています。
私の事業所は単独型のまま、ケアマネを増やし、事務職員を置き、ケアプランデータ連携システムを入れる形に変えました。「一人で全部やる」体制から「単独型だが複数体制」へ移した一例として読んでください。
2. 2027年3月31日:管理者の「主任ケアマネ要件」の経過措置が終わる

居宅介護支援事業所の管理者は、主任介護支援専門員でなければならないと基準で定められています。経過措置として、令和9年(2027年)3月31日までは主任でないケアマネを管理者にできるとされています。
出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第3条第2項、平成30年厚生労働省令第4号 附則第3条第1項(e-Gov法令検索)
1人体制の事業所では、管理者=自分です。つまり2027年3月までに自分が主任を取るか、主任のいる体制に変えるかのどちらかになります。私の結論は「主任を取得するしかない」でした。併設型に移る選択肢もありますが、単独型で続けるなら避けて通れません。
主任介護支援専門員研修の受講要件(国のガイドライン)
厚生労働省のガイドラインでは、受講対象者はおおむね次のとおりです。
- 専任の介護支援専門員として従事した期間が通算5年(60か月)以上(管理者との兼務期間も算定できる)
- かつ、専門研修課程Ⅰ・Ⅱ(または実務経験者向けの更新研修)を修了していること
- ケアマネジメントリーダー養成研修修了者や認定ケアマネジャーは通算3年(36か月)以上など、別の要件もある
- 都道府県が実情に応じて追加の受講要件を設定できる
研修時間は合計70時間です。東京都では東京都介護支援専門員研究協議会が実施し、令和8年度は第Ⅰ期・第Ⅱ期に分けて募集されています。受講料・日程・定員は年度ごとに変わるため、実施機関の募集案内で確認してください。
出典:厚生労働省「介護支援専門員資質向上事業の実施について」別添 主任介護支援専門員研修実施要綱(ガイドラインPDF)、東京都福祉局「介護支援専門員の研修情報」、東京都主任介護支援専門員研修 内容・時間数(PDF)
3. 逓減制の緩和で何が変わったか(令和6年度改定)

逓減制とは、ケアマネ1人あたりの取扱件数が一定数を超えると、1件あたりの居宅介護支援費が下がる仕組みです。令和6年度の介護報酬改定で、その「下がり始める件数」が引き上げられました。
- 居宅介護支援費(Ⅰ):取扱件数「40未満」→「45未満」
- 居宅介護支援費(Ⅱ):ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ事務職員を配置している場合に、「45未満」→「50未満」
- 介護予防支援の利用者は、取扱件数の算出で3分の1を乗じて加える(従来は2分の1)
出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項」p.39
1人体制の事業所にとっての意味は2つです。
- 収益の天井が上がった。同じ単価で担当できる件数が増えた。
- 担当できる件数の上限が、そのまま業務量の上限になった。件数を増やすほど、モニタリング・給付管理・担当者会議・電話が1人に集中する。
私の事業所は、ケアプランデータ連携システムと事務職員の配置で(Ⅱ)の要件を満たす形にしています。担当は実人数で55件ほどですが、要支援の方は3分の1換算なので、報酬上の取扱件数はこれより少なくなります。自分の事業所が(Ⅰ)と(Ⅱ)のどちらで、換算後の件数が何件かは、毎月の給付管理のときに一度確認しておくと安心です。
逓減制や加算の要件は、告示と留意事項通知を見開きで確認できる書籍が1冊あると、給付管理のたびに調べ直す時間が減ります。令和6年度改定に対応した版を選んでください。
4. ケアプランデータ連携システムと事務職員は、1人体制でも現実的か

(Ⅱ)の要件はデータ連携と事務職員の両方です。1人体制の事業所からよく聞くのは「事務職員を雇う余裕がない」「システムを入れても使いこなせない」の2つです。
ケアプランデータ連携システム
提供票・実績のやり取りを紙やFAXからデータに置き換える仕組みです。私の事業所では活用していて、月初・月末の実績確認の往復が減りました。相手のサービス事業所も対応している必要があるので、地域の事業所がどこまで使っているかで効果は変わります。
事務職員
給付管理・書類の整理・電話の一次対応を任せられると、ケアマネはモニタリングと調整に時間を回せます。私の事業所ではケアマネを増やしたうえで事務職員を置きました。1人体制のまま事務職員だけ置くのは費用面で難しい、という声が多いのも事実です。
私がいま力を入れていること:AIで事務処理・管理・書類作成を軽くする
正直なところ、いま私がいちばん力を入れているのは、AIを使った事務処理・進捗管理・書類作成の効率化です。記録の下書き、担当者会議の要点整理、期限管理の一覧化など、「人がやらなくてよい部分」を先に減らす方が、体制を変えるより早く手応えが出ました。ただし、利用者の個人情報をそのまま入力しない運用ルールは先に決めておく必要があります。具体的な進め方はケアマネの業務効率化|残業を減らす10の実務術にまとめています。
5. 一人で全部やるなら:業務を「型」にする

1人体制で続けるなら、業務を増やさずに回す「型」が要ります。月初(実績確定・給付管理)、月中(モニタリング訪問を地域ごとにまとめる)、随時(電話の折り返しルール・担当者会議の記録テンプレート)、月末(提供票・翌月予定)を1か月の型として固定すると、抜けが減ります。
電話対応の減らし方はケアマネの電話対応を減らす工夫、担当者会議の記録はサービス担当者会議を効率化するコツ、帳票・実績はケアマネの帳票・実績入力を時短する方法で書いています。
業務の型を作るとき、介護保険の基本・ケアプラン・サービスの種類と単位・トラブル対応をまとめて引ける本を1冊置いておくと、確認の往復が減ります。2024年の改定に対応した第3版です。
6. 続けるか、複数体制・併設型へ移るかの判断軸

「一人ケアマネの今後」を考えるとき、私が同業の方に勧めている判断軸は次の4つです。
- 主任要件をどう満たすか:自分が取るのか、主任がいる体制に入るのか。2027年3月が期限。
- 担当件数の設計:換算後の件数と、自分が無理なく回せる件数の差。
- 事務の外だし:データ連携・事務職員・AIのうち、今すぐ入れられるもの。
- 自分が続けたい働き方:裁量の大きさを取るか、相談できる同僚を取るか。
4つを並べて「1人体制のまま続けるのは難しい」と感じた場合、単独型のまま人を増やす道と、併設型や複数ケアマネの事業所へ移る道があります。どちらが正解かは事業所と本人次第で、私は前者を選びました。
7. 【同業の方へ】働く場所を見直す方へ
単独型で続けるにしても、複数体制の事業所に移るにしても、事業所ごとに人員体制・指導体制・ICTの導入状況は大きく違います。「今の環境で2027年を迎えられるか」を判断するために、他の事業所の条件を知っておくことは損になりません。
8. よくある質問
Q. 2027年3月までに主任を取れなかったら、事業所は続けられませんか?
A. 基準上、管理者は主任介護支援専門員である必要があります。経過措置の終了後の扱いや、やむを得ない場合の取り扱いは保険者(市区町村)の運用にもよるため、早めに指定権者へ確認することをおすすめします。
Q. 逓減制の45件・50件は、要支援の方も1件と数えますか?
A. 令和6年度改定では、介護予防支援の利用者は3分の1を乗じて件数に加える扱いです(出典:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項」)。
Q. 主任研修の費用と日程はどこで確認できますか?
A. 都道府県ごとに実施機関と募集時期が違います。東京都は東京都福祉局の「介護支援専門員の研修情報」ページから実施機関の募集案内へたどれます。
まとめ
・管理者の主任要件は2027年3月31日で経過措置が終わる。1人体制なら「自分が主任を取る」が現実解
・逓減制は45件(Ⅰ)・50件(Ⅱ:データ連携+事務職員)に緩和。要支援は3分の1換算
・私の事業所は単独型のままケアマネを増やし、事務職員とデータ連携を入れ、AIで事務を軽くする方向を選んだ
最後までお読みいただきありがとうございました。
一人ケアマネの今後は、決して悲観するものではありません。しかし2027年3月という期限だけは早めに逆算しておくことを、単独型で働く現役ケアマネとして強くおすすめします。
現役ケアマネとして、同業の皆さまのお役に立てる情報を引き続き発信していきます。制度の細部はお住まいの都道府県・保険者の公式情報でご確認ください。







