区分変更申請でやりがちな失敗とは?現役ケアマネの『今日の失敗』で学ぶ注意点

同業者向け執筆・監修現役ケアマネジャー(介護支援専門員・介護福祉士)本ページはアフィリエイト広告を利用しています

 

 

こんにちは、ふみーずステディです。

 

居宅支援事業所のケアマネ業務において、今日の失敗は【区分変更申請】についてです。

区分変更申請は、利用者様の要介護認定区分と現状のADLが合致していないと判断した場合、適正の要介護度に変更するため申請します。

現状の要介護認定区分より、明らかにADLが悪い状態と判断した場合、適切な認定区分に変更してもらうために区分変更申請を行います。またその反対の場合でADLが改善された場合も対象となります。

 

例を上げると、脳梗塞で半身まひの後遺症を患うことになってしまい、トイレも自力で行けなくなってしまった、ほぼ全介助の状態になってしまったのにもかかわらず、要介護認定区分は要介護1で介護サービスを受けている場合などです。

 

区分変更申請を行うと、再度認定調査実施、主治医の意見書の提出、そして有識者による介護認定審査会が開催されて要介護度が決定されます。

 

区分変更申請が時期尚早であった・・

 

担当利用者様が入院してしまい、特に状態が悪化している入院中に区分変更申請の提案をした事例を紹介いたします。

 

基本情報概要

 

利用者は男性、妻と長男の3人暮らし。要介護1の認定区分。

疾患は脳梗塞により、軽度の左半身マヒがあります。

室内で利用する歩行器と自費ベッド、および付属品を貸与で利用しています。

 

失敗の経緯

 

事務所の電話が鳴りました・・・担当ケアマネが電話に出ると・・・

 

利用者の妻
お世話になります。○○ケアマネさんですか?実は主人が昨日入院しまして・・・
主人の状況が一転してしまいました・・

担当ケアマネ
具体的にご主人の状況を教えていただけますか?

利用者の妻
熱発にて入院してしまったのですが、他の方が見たら重度の認知症患者かと思われてしまう状態です。
今いる場所もわからないようで「家に帰りたい」の一点張りです。
質問をしても理解力がおとろえてしまったようでトンチンカンな答えが返ってきます。
トイレも自分で行けなくなってしまい、このままでは家に戻れないです。

担当ケアマネ
その状況では自宅に戻られた後は、奥様一人での介護は厳しいのではないでしょうか?ヘルパーさんや他の介護サービスの導入を検討する必要がありますね。
今は要介護1なので区分変更申請をして複数の介護サービスの利用に備えませんか?サービス量によっては限度単位を超過してしまうかもしれません。

利用者の妻
そうですね。お願いいたします。
そして数日後・・・

認定調査員(担当ケアマネ)
利用者こんにちは。本日は担当ケアマネとしてではなく、区からの委託で認定調査員として参りました。
30分~40分程度お時間いただけますか?

利用者本人
こんにちは、わざわざ来てもらって申し訳ないね。今起き上がるからちょっと待っててね。

認定調査員(担当ケアマネ)
あれっ 奥様から聞いていた状態よりお元気そうだな・・
その後、40分前後で認定調査の聞き取りは完了して翌日には区役所に提出しました。
翌日・・・

 

事務所の電話が鳴りました・・・担当ケアマネが電話に出ると・・・

 

利用者の妻
今日主人が退院いたしました。熱も下がって退院しても大丈夫と先生からお話がありましたので。

担当ケアマネ
そっ そうですか!退院おめでとうございます。
トイレには行けていますか?お食事はできていますか?

利用者の妻
トイレは何とかポータブルでできています。食事はベッド横にテーブルを置いて自分で食べることはできています。何とか私一人でできそうです。

 

 

結果

 

退院直後は介護サービスの追加なしで退院前同様に奥様が介護をすることになりましたが、担当者会議では妻が入浴介助をするのために浴室の福祉用具の購入につながりました。

しかしながら想定していた大幅なADLの低下にはならず、ヘルパー導入やデイサービスの利用に結び付きませんでした。

 

区分変更のタイミング判断や記録の書き方で迷ったとき、ひな形が手元にあると判断が早くなります。


入院中の区分変更申請|できる?流れとタイミングの目安

この失敗談を読んで「入院中でも区分変更申請はできるの?」「いつ申請するのがよい?」と気になった方向けに、制度の流れと、現場で見ているタイミングの目安を整理します。

入院中でも申請はできる

要介護状態区分の変更の認定は、介護の必要度が今の区分と合わないと考えるときに市区町村へ申請できます(介護保険法第29条)。申請は本人・家族のほか、居宅介護支援事業所などが手続きを代行できます(同法第27条)。入院していること自体は申請の妨げになりません。

申請から結果までの流れ

  1. 市区町村(保険者)へ区分変更申請(ケアマネが代行することが多い)
  2. 認定調査(入院中は入院先で受けるケースが多い。この記事の事例のように、自治体から委託を受けたケアマネが調査員として訪問することもある)
  3. 主治医意見書(入院先の医師に依頼するのが一般的)
  4. 一次判定・介護認定審査会
  5. 結果通知。処分は申請日から30日以内が原則で、認定の効力は申請日にさかのぼります(介護保険法第27条)

出典:介護保険法(e-Gov法令検索)第27条・第29条

現役ケアマネが見る「タイミング」の目安

  • 入院直後は状態がいちばん悪く見える。発熱や環境の変化で一時的に混乱やADL低下が出ていることが多く、この時点の調査は退院後の実態とずれやすい。
  • 退院の見通しを医療職に聞いてから決める。病棟の看護師・リハビリ職・退院支援担当に「退院時にどこまで戻りそうか」を確認し、サービス量が増える見込みが強いときに申請する。
  • 退院後の在宅生活を見てから申請する選択肢もある。効力は申請日にさかのぼるので、退院前カンファレンスや退院直後の様子を踏まえて申請しても遅すぎることは少ない。
  • 区分変更の認定を受けたらケアプランの変更とサービス担当者会議が必要になる。省略できるケースはケアプランの軽微な変更とは?を参照。

 

今日のまとめ

入院中はADL低下が顕著で、介護サービスの見直しやサービス追加が見込まれたために区分変更申請の提案・申請に踏み切りました。しかしながら退院して在宅生活に慣れてくると、入院前と変わらないサービスで問題なく生活ができるまで回復されました。結果要介護1のままでも単位数が不足しないサービス内容に戻りました。

結果的には利用者や家族にとってあまりメリットがない区分変更になってしまいました。

 

反省ポイント

◎入院直後の状態は特に悪くなることを想定するべきだった

◎看護師さんなど医療職の見解をヒアリングするべきだった

◎退院後、日常生活に戻った場合、ADL元の状態に戻ることを想定するべきだった

今回の区分変更申請ですが、大きな失敗とは呼べないかもしれませんが、上に記載したように事前にやるべきことがあったと反省しています。
業務効率化や生産性向上の観点から反省すべき点は多かったように思います。
今日はこれまで。
よろしくどーぞ!!
【関連記事はコチラ↓】
おすすめの記事