こんにちは、ふみーずステディです。
先日44歳の女性が人工透析の中止を選択、延命を望まずにお亡くなりになりました。
私はケアマネ業をしているが故に人の死に関わることが少なからずあります。延命に関して決断される本人や家族を目の当たりにすることがあるので、今回のことは改めて考えるきっかけとなりました。私も同い年ですが、同じ状況であったら、その若さで彼女と同じ決断をできるかわかりません。
私が担当している利用者の中にも人口透析で通院されている方がいらっしゃいますが、今回は人工透析についてお伝えしたいと思います。
タイトルにもあるように人工透析市場は非常に大きな市場規模です。日本の総医療費が年間約40兆円なので、そのうち2兆円、5%の医療費が人工透析患者の医療費に使われることになります。
1.人工透析とは?
まずは『人工透析』とはなにか?どのような治療なのか?
概要を説明していきます。
腎臓の機能とは?
腎臓の働きが悪くなってしまった治療方法の1つが人工透析治療になります。
腎臓とは血液をろ過して老廃物や塩分を尿として体の外へ追い出すための臓器です。
また、体に必要なものは吸収し、体内に留める働きをします。
腎臓が機能を失ってくると尿が出なくなり、老廃物などが体に蓄積し尿毒症になります。
その他にも塩分や水分の排出量を管理して血圧を調整したり、カルシウムを体内に吸収させるために必要な活性型ビタミンDを作る機能もあるのでカルシウム不足で骨が弱くなる症状も出てきます。
腎臓病になるとどうなる?
慢性腎臓病に初期の自覚症状はほとんどありません。それが患者を増加させる要因の一つになっています。慢性腎臓病が進行すると、夜間の排尿、むくみ、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が出てきます。
腎臓の働きが悪くなると余分な塩分と水分の排出ができなり、血液量は増加し血圧が上昇します。血圧が上がれば、ますます腎臓に負担を与え、さらに機能が低下し、悪循環をたどります。したがって血圧コントロールは非常に重要です。
なぜ腎臓病になってしまうのか?
悪くなってしまった腎臓を治すことは困難です。そのため早期発見・早期治療が重要となります。
糖尿病や高血圧症、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病や高齢化が進んでいることが患者を増やす要因の一つになっています。
腎臓機能の低下は脳卒中、心筋梗塞など心血管疾患の発症・進行を増幅させることでも怖い病気と認識されています。
人工透析になると・・
人工透析とは、全身の血液を体の外に出し、医療機器の透析器の中で血液をろ過して、きれいな血液を体の中に戻す方法です。
1日か2日おきに4~5時間かけて透析を行います。例えば火木土や月水金の週3日間の午前、または午後に通院してベッド上にて透析を行います。移動時間も含めて病院の拘束時間が長いですし、治療自体から身体的にも精神的にも大きな負担を要します。
透析を開始する準備として、血液を体内から外部へと出して再び体内に戻すための出入り口を作る必要があります。 ↓出入り口のイメージ図=シャントです。
本来健康である腎臓は24時間休みなく働いています。1週間は168時間になりますが、血液透析は1週間に約12時間程度しか行いません。到底健康な腎臓の代わりにはなりえませんので、さまざまな制限が必要となるのです。
塩分や水分制限は必要ですが、十分に食べて決まった時間に透析を行い、運動をすることが大切です。
2.透析の費用はどうなるの?
それでは治療にかかる費用はどうなるのでしょうか?
自己負担額
健康保険から発行される『特定疾病医療受領証』を病院に提出すれば自己負担額は月額で1万円に軽減されます。さらに自治体での助成を利用もかのうです。東京都の場合は『難病医療費助成制度』が適用され1万円の助成となりますので透析にかかる自己負担額は0円となります。
注)ただし70歳未満、所得額によって自己負担が発生する場合があります。
国や自治体が費用を負担しているの?
国や自治体が負担しています。治療費は月額で約40万円かかります。年間だと約500万円弱です。それを自己負担なしで治療できます。10年で5千万円、20年で1億円の医療費を負担してくれます。
2018年には透析患者数は33万人を超え、さらに毎年約5千人の透析患者が増加しています。2025年まで伸び続けると予測されています。
現状でも約1兆6千億円規模の医療費になりますが、このまま透析患者が増え続けると冒頭でも伝えましたが、2兆円規模に膨らみます。
3.他の先進国アメリカと比べると?
日本とアメリカの医療制度は大きく異なりますが、どのように違うのでしょうか?
アメリカの医療制度は?
アメリカの公的健康保険の加入は低所得者と高齢者以外加入できません。その他のアメリカ人は民間の保険に任意で加入します。
保険料は月額10万円から16万円程度の負担のようです。州によってもバラツキがありますが、庶民的な家庭には加入が厳しい金額です。未加入率が15%程度あり社会問題にもなっているようです。
保険の種類によって金額が異なりますが、医療費は高額で、例えば風邪を引いて、クリニックで診療すると2万円、処方箋で1万円、薬局で5千円~1万円します。トータルで3~4万円の医療費が発生してしまいます。
救急車は有料で1回20万円程度、外来以外では入院費1泊10万円程度、外科手術の相場は50万円、盲腸の手術では80万円が相場のようです。
歯科のカバーはほとんどなく、1回の治療で10万円程度の費用がかかるようです。
医療サービスを受けるにも多額の費用が必要なのでアメリカ人は、多少体調が悪くても医者にはかからず、まずは薬局へ行って薬で治療するのが一般的のようです。日本では処方が必要な強い薬でもアメリカの薬局で買えるので後押ししているようです。
アメリカの医療制度では簡単に病気に慣れないため自分の身は自分で守る!という意識が強く働くのでしょう。
他国の医療情報サイト参考にしてください。
日本の医療制度はどうなるのか?
アメリカの医療制度や他国こ制度に比べると日本の医療制度の費用負担は軽いようです。また医療技術も高いため費用対効果が高い上位国に位置するでしょう。
余談ですが腎不全の日本人患者の95%は人工透析治療をしているのに対してアメリカ人が人工透析を行っている割合は、40%と日本人の半分以下のようです。
経済的な負担や臓器移植の制度が異なるなど複雑な要因があると思いますが、日本は他国に類を見ない少子高齢化によって社会保障費である医療費がひっ迫している状況です。
将来的には生活習慣病が原因で発症する疾患が医療保険の対象から外されてしまう!なんて可能性も否定できません。
今の手厚い日本の医療制度が永続する可能性は非常に低いと考えるのは一般論なのではないでしょうか?
4.まとめ
30年前とは人口構造が大きく変化しています。自己責任で健康管理をしっかりしていかないと国が我々を守ってくれない時代がやってくるような気がします。
自分の身は自分で守れるように健康的な生活を送りながら健康寿命を延ばし、よりよい国にしていけるようにがんばっていきましょう!
よろしくどーぞ!