【現役ケアマネが解説】訪問入浴とは|対象になる人・当日の流れ・家族が準備すること
家族向け執筆・監修現役ケアマネジャー(介護支援専門員・介護福祉士)本ページはアフィリエイト広告を利用しています
【結論】訪問入浴は、看護職員と介護職員が自宅に来て、持ってきた浴槽でお風呂に入れてくれる介護保険のサービスです。現場で提案するのは、自宅のお風呂が使えない方や、寝たきりなどで浴室まで動けない方。家族が用意するのは1〜2畳ほどのスペース・お湯・入浴車の駐車場所くらいです。費用(1割負担)の目安は1回あたり要介護で1,266円・要支援で856円です(全身入浴の場合。地域や加算で変わります)。

こんにちは、現役ケアマネジャーのふみーずです。東京都内にて在宅ケアマネジャーとして居宅支援事業所で勤務しております。

「寝たきりになってから、もう何か月もお風呂に入れていない」
「家のお風呂は狭くて、介助しながらではとても無理」
「訪問入浴って、家族は何を準備すればいいの?」

体を拭くだけの日が続くと、本人も家族も「そろそろお風呂に入れてあげたい」と感じるものです。この記事では、訪問入浴がどんな人に向いているか、当日の流れと家族の準備、費用、訪問入浴のない日にできることを、現役ケアマネの視点でお伝えします。

訪問入浴とは

訪問入浴とは

訪問入浴介護は、介護保険の在宅サービスのひとつです。厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、看護職員と介護職員が利用者の自宅を訪問し、持参した浴槽によって入浴の介護を行うサービスと説明されています。

浴槽は入浴車で運び込み、部屋の中に組み立てます。自宅の浴室は使いません。看護職員が入浴前に体調を確認し、体調によっては全身の入浴をやめて、体を拭く(清拭)・部分浴に切り替えることもあります。

どんな人が使っている?(現場で提案する決め手)

どんな人が使っている?(現場で提案する決め手)

私が訪問入浴を提案するのは、主に次のような方です。

  • 自宅のお風呂が使えない:浴室が狭い、段差が大きい、浴槽をまたげないなど、家族やヘルパーが介助しても自宅の浴室では入れない
  • 寝たきりなどで動けない:浴室まで移動できない、デイサービスへ通うのも難しい

反対に、介助があれば自宅のお風呂に入れる方は、訪問入浴より先に、浴室の環境を整える方法を考えることが多いです。シャワーチェアや浴槽の手すりなどの入浴用の福祉用具は介護保険で購入費の補助が受けられるので、ヘルパーの入浴介助やデイサービスのお風呂と組み合わせて検討します。

自宅のお風呂で入れそうなら
シャワーチェアや手すりなど、入浴で使う福祉用具の選び方と費用は介護保険の福祉用具レンタルとは|何が借りられる?費用と選び方のポイントで整理しています。

費用の目安(1割負担の場合)

費用の目安(1割負担の場合)

介護サービス情報公表システムに載っている、1回あたりの利用者負担(1割)の目安は次のとおりです。

対象 1回あたり(1割負担・全身入浴)
要介護1〜5 1,266円
要支援1・2(介護予防訪問入浴介護) 856円
  • 体調などで全身の入浴ができず、体を拭く・部分浴にした場合は、所定の単位数の9割で計算されます(厚生労働省「介護報酬の算定構造」令和6年4月改定)。
  • 地域の加算や、事業所の加算(初回・体制など)で金額は変わります。2割・3割負担の方はその分高くなります。
  • 訪問入浴も、ほかの介護保険サービスと合わせて1か月の支給限度額の中で使います。回数を増やすと、ほかのサービスに使える枠が減ります。

自己負担の割合や限度額の考え方は、介護サービスの自己負担はいくら?で詳しく解説しています。

初回の流れと、家族が準備すること

初回の流れと、家族が準備すること

① ケアマネに相談して、事業所と契約する

担当ケアマネに「訪問入浴を使いたい」と伝えると、ケアプランに位置づけて事業所を探します。当日に体調などで中止になった場合の扱いは、契約のときに事業所から説明があります。わからないことは、このときに確認しておきましょう。

② スペースは1〜2畳あれば大丈夫

浴槽を置く場所として、1〜2畳ほどのスペースがあれば入浴できます。ベッドの横など、本人を移しやすい場所を空けておくと当日がスムーズです。

③ お湯は自宅のものを使う

お湯は自宅の蛇口や給湯器から借ります。水道代・ガス代は家庭の負担になる点も覚えておきましょう。

④ 入浴車の駐車場所を確認しておく

浴槽やお湯の設備を積んだ入浴車で来るため、家の近くに車を停められる場所が必要です。初回の前に、事業所と一緒に駐車場所を確認します。

よくある心配:男性スタッフが来ることもある

よくある心配:男性スタッフが来ることもある

家族から大きな戸惑いの声を聞くことはあまりありません。ただ、男性スタッフの介助を嫌がる方はときどきいらっしゃいます。

希望があれば事前に事業所へ伝えましょう。ただし、訪問入浴は看護職員と介護職員の複数人のチームで来るため、事業所の体制によっては希望に応じられないこともあります。その場合は、本人の気持ちを聞きながら、ほかに方法がないことも含めて家族とケアマネで話し合っていきます。

訪問入浴のない日にできる「清潔を保つ工夫」

訪問入浴のない日にできる「清潔を保つ工夫」

訪問入浴は毎日使うサービスではありません。入浴のない日は、家族ができる範囲で清潔を保つ工夫を組み合わせます。私が家族にお伝えしているのは次の3つです。

  • 体を拭く(清拭):温かいタオルや、使い捨ての清拭タオルで
  • 手や足だけ洗う(手浴・足浴):洗面器やバケツにお湯を張って。家にあるもので十分です
  • 水のいらないシャンプー:寝たままでも髪を拭き取れるタイプがあります

手浴・足浴は、家にある洗面器やバケツで始められます。清拭と髪のケアは、介護用の使い捨て製品があると準備と片付けが楽になります。

体を拭く日の準備を減らしたいときは、大判の清拭タオルが便利です。

寝たまま髪を拭き取れるシートタイプの、水のいらないシャンプーです。

※肌に赤みや傷があるときは使用を控え、訪問看護師や主治医に相談してください。

よくある質問(Q&A)

Q1. 要支援でも使えますか?
A. 要支援の方向けに「介護予防訪問入浴介護」があります。利用できるかどうかは、担当の地域包括支援センターやケアマネにご確認ください。

Q2. 週に何回使えますか?
A. 回数に一律の決まりはなく、本人の状態と、ほかのサービスとの組み合わせ(支給限度額の範囲)でケアプランに位置づけます。担当ケアマネに相談してください。

Q3. 当日に熱があったらどうなりますか?
A. 看護職員が体調を確認し、全身の入浴をやめて体を拭く・部分浴に切り替えることがあります。中止になった場合の扱いは事業所ごとに違うため、契約時の説明で確認しておきましょう。

まとめ

  • 訪問入浴は、看護職員と介護職員が浴槽を持って来て自宅でお風呂に入れてくれるサービス
  • 現場で提案するのは「自宅のお風呂が使えない」「寝たきりなどで動けない」方
  • 家族の準備は、1〜2畳のスペース・お湯・入浴車の駐車場所。中止の扱いは契約時に確認
  • 費用の目安は1回1,266円(要介護・1割・全身入浴)。体を拭く・部分浴のときは9割
  • 入浴のない日は、清拭・手浴足浴・水のいらないシャンプーで清潔を保つ

(参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの?-訪問入浴介護」、厚生労働省「介護報酬の算定構造」令和6年4月改定。2026年9月23日確認。費用は地域・事業所の加算・負担割合で変わります。)

最後までお読みいただきありがとうございました。

お風呂に入れない日が続いても、焦る必要はありません。ただ、「家のお風呂ではもう難しい」と感じたら、そのときは担当ケアマネに一度相談してみることを、現場のケアマネとしておすすめします。現役ケアマネとして、皆さまのお役に立てる情報を引き続き発信していきます。不安や疑問があれば、お住まいの地域の地域包括支援センターや担当ケアマネージャーにもお気軽にご相談ください。

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